−SIDE STORY−

−IMPRESSION−

−ver. 堀尾 聡史−




この間竜崎先生の推薦だかなんだかで『強い』青学のテニス部にコーチが入る事になった。強い青学を強化するにはイイコトだとテニス歴二年の俺も思う。だけど俺は納得いかなかった。

だってそのコーチっつーのが冷たい女だったんだからな!

外見だけだとスッゲー美人な先輩だった。スタイルも顔も綺麗で、学校に来た初日から生徒全員が知ってるんじゃないかって感じだったし。『クールドール』とか言うあだ名で三年に入ったのに俺達一年にまで噂が廻ってきた。カツオとカチローとかもそれが誰だか知らなくて噂の『クールドール』の話をしていた。
正直知らなかった時はあってみたいと思ったけどな・・・!
そうしたら、その日の放課後に『見る』だけじゃなくて『会う』ことになったんだ。

でも、その時の俺の先輩への印象は悪かった。実はその数日前に会ってことがあったからだ。しかもあの荒井先輩が殴りかかりそうになってたし。ウチのレギュラーの先輩達を馬鹿にするような発言だってしたし!まあ、基本的に無口だったけど・・・無表情だし・・・
カチローがぶつかって謝っても何も言わなかったし。

「大丈夫?カチロー君」
「う、うん・・・」
「ったく!何様のつもりなんだよ、あの人!ぶつかったって、ちゃんと謝ったのに!」
「無視してたもんね・・・」
「ってか、カチローもすぐに謝るなよ!あの人がぶつかってきたんだろう!?」
「あ、いや、多分、ぶつかったのは僕の方だし」
「それにしたってよぉ!」
「まあまあ!堀尾君!」

俺が怒るとカツオは俺を宥めようとした。

なんか偉そうなあの先輩が俺は嫌いだ。カチローとかは隠してるみたいだけど、好きみたいなんだよな。そりゃ確かに美人だけどよ、あーんな無表情で感情無いんじゃねーかってくらいなんだぞ!

「堀尾君」
「は、はいっ!」
「・・・入り口で立っていると通行の邪魔になります」
「す、すんません!」

慌てて退いたって何にも言わない先輩。しかも表情を全く変えない。下手したら手塚部長より表情の変化が無いかもしれない。

「堀尾君」
「・・・何すか?」
「膝、もう少し曲げなさい」
「は?」
「疲れてきて膝が真っ直ぐになってきてますよ」

それだけ言うと先輩はスタスタとレギュラーのコートへ向かった。

「くっそー。むかつく」

テニス歴二年の俺がそんな簡単な事言われるなんてな。

「凄いね、先輩。ちゃんと僕達のコートも見てるんだぁ」

感心したようにカチローが言った。確かに先輩は俺達のコートもよく覗きに来る。アドバイスも結構的確だしな・・・多分。
カチロー達くらいの初心者にはいいコーチかもしんないけどな。・・・俺のはたまたまだし!

まだレギュラーの練習相手ができるだなんて絶対認めないんだからな!



◇FIN◇

元CLAP。
カチローの次にやっぱり堀尾君を書いてみた。

UP 08/06/05