【紅と藍達の出会い】



凄まじい練成反応を感じたロイ・マスタング達はある町に着いた。

「なんスか・・・コレ・・・」

瓦礫と化した町の半分を見て、ジャン・ハボックが呟いた。
銃を構え、それぞれがゆっくりあたりを見回した。
そして、町の中心の広場らしき場所に近づいていく。

「ちょ、中佐、少尉・・・あ、あれ・・・」
「ッ―――!」
「なっ―――!」

ジャンが指差した先には―――

数え切れない数の布切れ

真っ赤な血

「何が起きたんでしょう・・・?」


リザ・ホークアイが小さく呟き眉間に皺を寄せた。
そして、その問いに答えるようロイは眉間に皺を寄せて呟いた。

「人体練成」

そのロイの答えにジャンとリザは目を見開いた。
そして、次の瞬間息を呑んだ。




目の前には巨大な練成陣。





囲むように真っ赤な人の形をした赤い影。




その中心には白い布。





ゆっくりとその白い布が動く。
そのゆっくりと動く布を見てジャン達は銃を強く握った。
するすると布が滑り銀色の長い髪が露になった。

「ひと、だと・・・?」

ロイが驚いて小さく呟いた。
そして、ゆっくりと銀髪が目を開けた。

「ッ―――!?」
「手を上げなさい!」

ハッと息を呑んだ銀髪の人物はリザの声に振り返る。
リザ達を見て真紅の瞳を大きく見開き怯えた表情を見せた。

ロイはゆっくりと練成陣の中心へ歩いた。
しかし怯えて震えている人物はロイが近づくのを見て顔を引き攣らせた。
さらさらと長い髪が横に少し揺れる。

銀髪に真紅の瞳の少女。

「動くな。」

ビクッとロイの声に少女は震えた。
しかし少女はロイの言葉を聞かず、後ずさりした。

「動くな。」

ロイが繰り返したが、少女はヨロヨロと立ち上がろうとした。
ジャキッとリザが少女に銃を合わせる。
しかし、少女はまるで足に力が入らないようでドサッと転んだ。

「ッ!」

ロイは少女の足に力が入らない事に気付いた。

練成の代償で足を持っていかれたのか?

少女はロイ達の方へ少し振り返ってズルズルと腕だけで逃げようとした。

「ゃ、ぁ―――!」

すると少女は再び立ち上がろうとした。
しかしその体は転ぶ事は無かった。

「なっ!?」
「え・・・!?」
「と、とんだぁ?!」

ロイ達が驚く中、少女も自分の状況に驚いたらしい。
辺りをキョロキョロ不安そうに見回して目に涙を浮かべていた。

「―――!」
「落ち着きたまえ!私は、君に危害を加えるつもりはない。」

ロイはオロオロする少女に言った。
そして、微笑み、少女に手を差し出した。
差し出された手を見て、真紅の瞳が不安そうに揺れた。
おそるおそる、ゆっくりと空中から小さな手がロイの大きな手にかさなった。
そのまま重なった瞬間少女の体がグラリと揺れ、崩れ落ちた。

「っと!」

フワリと柔らかい布で包まれた細い体はロイに抱きとめられ怪我をする事は無かった。

「中佐!」
「だいじょうぶっスか?」

ロイの傍にリザとジャンが駆け寄った。

「ああ。私は平気だ。」
「彼女は・・・気を失ってますね。」

青白い顔になった銀髪の少女。
赤い瞳は今は閉じられていた。

彼女は一体何者か。

ロイ達の中で同じ疑問が残った。






UP 10/30/05
名前変換なしでごめんなさい