「青の団」とかいう奴等を抑えて傷一つ無く駅についた。
列車から降りると見覚えのある姿。
一人はごっつい安物の機械鎧を使う男。
一人は滅茶苦茶会いたくない策士な男。
そしてもう一人は見たことの無い女。



【ボーイ・シーズ・ダ・ガール】



さっきまで俺と戦ってた男が反抗的に叫んで大佐に襲い掛かろうとした。
やっぱ馬鹿だな、アイツ、なんて俺は心の中で思う。

「大佐、お下がりください。」

中尉が銃を構えながら言ったけど大佐はニヤリと笑って中尉に下がるように合図した。
その直後、綺麗な銀色の糸が大佐と男の間を舞った。
銀髪の人物から練成反応がすると男の隠し武器が爆発した。
それに乗るように今度は大佐がパチンと指を鳴らした。
酸素濃度を調節して爆発しやすくなった男の周りではボンッと燃える。
調節してあるとはいえ、熱さと痛みで男は叫んだ。

「私の名はロイ・マスタング。地位は大佐。」

そして、と偉そうに笑った。

「『焔の錬金術師』だ。覚えておきたまえ。」

やっぱり偉そうだな、といつもの俺なら思うんだろうけど。
俺はそんな大佐よりもキラキラと光さっきの銀を見ていた。

初めてみる女。
銀色の髪。
真紅の瞳。

ジッと見ていると真っ赤な目が不思議そうに俺とアルを見て首を傾げた。
その顔にはさっき燃やされた男に向けられた鋭い眼ではない、きょとんとした顔。
すると大佐は俺の方を見てからその女に何か言って頭を撫でて、また俺の方へ歩いてきた。

「やあ、鋼の。」
「・・・どーも。」

アルフォンス君も元気そうだね、とうそ臭い笑顔で挨拶するとアルも、大佐も、と頭を下げた。
まあ、とりあえず俺達は軍人の巣窟へ向かう事にして大佐の後ろを歩いた。
その時少し離れた所でハボック少尉と他の軍人が話すのが聞こえた。

「今のは一体・・・?」
「あ、はじめてか?大佐のあれ。」
「はい・・・」

それでハボック少尉が大佐の発火布の説明をすると相手は信じられないような声で言った。

「理屈はわかりますが、そんな事が可能なんですか?」
「それを可能にするのが錬金術師さ。」

タバコをくわえて、ちなみに、と続けた。

「あの赤いコートの坊主と大佐の隣を歩いてる銀髪のお姫様も、錬金術師だぜ。」

あ、赤いほうは国家錬金術師な、と付け足すように言われて、あんな子供が、と驚かれた。
子供で悪かったな。盗み聞きしておいて怒るのもどうかとおもうけどさ。
でも俺はその少尉の言葉に少し前を歩く女を見た。

「兄さん、あの子・・・」
「ああ。錬金術師だってな。」

アルがこっそり話し掛けてきても俺は目を離さなかった。
すると少し振り返って目があった。
俺はビックリして少し警戒したけど、相手はにっこりと笑ってまた大佐を見上げて前を見た。

俺の中では疑問が一つだけ。

一体誰なんだろうか?





UP 11/20/05