【穏やかな朝】
「ん・・・・・・」
「おはよう、草灯」
ゆっくりと目を開けるとが俺の顔を覗き込んでいた。
が軽く俺の額に口付けた後にゆっくりと起き上がる。
「・・・」
「なぁに、草灯?」
何だか信じられなくて微笑みを浮かべるを抱きしめた。
そんな俺をくすくすと笑う。
「夢でも見てた?」
「今見てる気がする」
「夢だったらどうする?」
子供みたいに少し擦り寄るようにの肩に額を乗せた。
「嫌だ。こんな風に幸せな夢なら覚めたくない」
「草灯にそう言ってもらえるなんて嬉しいね」
ギュッと俺の頭を抱えるように腕を廻した。
「ねぇ、草灯。朝ご飯何食べたい?」
「が作るなら何でもいい」
俺の言葉を聞くと少し嬉しそうに笑った。
「草灯、最初にコーヒー飲む?」
「飲む」
わかった、と頷くとはキッチンの方へ行った。
しばらくするとコーヒーのいい香りがしてきた。俺は誘われるように立ち上がってキッチンに向かう。優しい音色の鼻歌を邪魔しないように静かに後姿を見た。綺麗な銀色の髪は紺色のセーターに映えていて。あまりに穏やかな光景で少し見入ってしまう。
愛しさが込み上げてきた。
「」
後ろから小さな体を抱きしめると驚いたように、きゃっ、と小さく悲鳴をあげた。
「ビックリした〜。どうしたの?草灯」
コーヒー待てなかった?と見当違いな質問に小さく俺は笑った。
「違うよ」
こんな穏やかな朝も悪くない。
UP 11/12/05