救出時よりはずいぶんと体調がよくなったはずだ。目の下の隈は薄くなった。顔色も、相変わらず白いが暖かさを取り戻したように見える。呼吸も、弱弱しくない。だが、セラヴィーの中で眠ってからずっと眠ったままだ。

「ここにいたのか、ティエリア」
「刹那」

呼ばれて顔を上げると刹那が医務室の入り口に立っていた。何かあったのかと聞くが、何もないらしい。

は、まだ目を覚まさないか?」
「ああ、眠ったままだ」
「そうか」

刹那はカプセルの中で眠るの顔を見ている。
ふと、思った。と刹那は親しかっただろうか。四年前の自分は人と馴れ合うことを嫌っていた。刹那も人と距離を置いていた。しかし、は一見無愛想で冷たいようでも、一定の距離に人を置いていた。自分から近づくことはなくとも、近づいてきた人間は受け入れているように見えた。スメラギ・李・ノリエガがいい例だ。彼女の前ならば、感情を隠す表情も柔らかくなっていた。

「アレルヤ・ハプティズムは・・・」
「まだ寝ているだろう」
「そうか」

救出されて丸一日経っても、四年間の疲れは取れないだろう。おそらく、がここに居る事も聞かされていない。

「アレルヤより、酷いな」
「・・・ああ」
「早く目を覚ますと良いな」
「ああ。そうだな」



そして
    おかえり 
        と 
          言うんだ




UP 03/08/13