裏御伽チーム対獄界六凶チームの試合を見損ねた幽助と桑原は、二秒で試合が終わったと聞いて驚いた。桑原が雪菜が兄を探していると話し、蔵馬と幽助はからかうように、飛影に探してあげようと持ちかけた。
突然会場がざわめいた。
「戸愚呂だ」
「おい、戸愚呂だぞ」
会場の向かいに戸愚呂チームが立っていた。そして、会場は戸愚呂コールで包まれた。
「おい、あれって!」
桑原は、戸愚呂の前に立っている少女を指さした。
「!」
全員が驚いたように、を見た。だが、当の本人はそれに気付かないように、会場から後ろへ振り返った。
「戸愚呂人気だね!」
ふっと戸愚呂は笑った。そして、幽助を指差した。上がって来いよ、と仕草で戸愚呂が言うと、幽助は、ぶっ倒す、と返した。
「物騒だね」
は二人のやり取りを見たあと、鴉に苦笑してみせた。鴉は答えるようにそっとの頭を撫でた。
立ち去る戸愚呂チームのメンバーのあとに続くようにも歩き出したが、思い出したように途中で止まった。幽助たちへ振り返ると、にこりと笑って手を振った。
そんな様子を見て、飛影はふんと鼻を鳴らした。
「やはりな」
「どういうことだよ!?」
「の父親は、戸愚呂チームのオーナーってことさ」
マジかよ、と桑原と幽助は顔を見合わせた。人間の女をそばに置くようなやつだとは思えなかった二人は、目に映った光景を信じられなかったのだ。
「知り合いか?」
暗い廊下を歩きながら投げられた鴉の質問には頷いた。
「一人が同級生なの」
「ほう」
「ほとんど話したことなかったけどね。ここで話すようになったんだ」
楽しそうに話すに鴉は、どれだ、と問いかけた。
「蔵馬って、赤い髪の人だよ」
鴉は、先ほど並んでいた浦飯チームを思いだした。あれか、と小さく呟いた。
「はどちらの応援をするんだ?」
「へ?」
は意外な鴉の質問にきょとんとした。
「決勝戦であたったら、両方かな」
えへへ、と悪びれる様子もなく言ったに鴉は笑った。これから命のやり取りをするというのに悲壮感もなく言う姿は、何も知らない子供のようだ。実際は知らないわけではない。理解していないわけでもない。ただ彼女を育てた男のように、そんなに命と言うものにそこまでの価値を感じないだけだ。
自身が死んだら、涙を流すのだろうか。あの少年を殺せば、涙を流すのだろうか。鴉の頭に浮かんだ疑問に答えるものはいない。
対
角
線
な
平 の
行 か
線
な
の
か
UP 10/27/13