【地球の星空の下】
「。」
「キラ?」
誰も居ないと思っていた部屋からした声に思わず驚いた。
「居るなら居るって言ってよ。」
ビックリしたじゃない、というと、ごめん、と笑いながら返された。
窓際の人影が口元に手を当てて苦笑しているのがわかる。
「電気もつけないでどうしたの?」
「待って、こっちにおいで。」
電気のスイッチをつけようとすると止められて窓へ誘われた。
ゆっくりと近づくと微笑むキラの表情が月明かりで見えた。
「うわぁ・・・・・・」
「綺麗でしょ?」
見えた夜空に浮かぶ綺麗な光。
その美しさに思わず声をあげる。
「やっぱり、人工的に作られた物とは違うのね・・・」
プラントに居た頃見ていた星も綺麗だった。
けれど、ヤキンの戦いが終わってオーブに亡命して初めて見た星空はもっと美しいと感じた。
本物の空は毎日違う顔を見せて、私は幸せだと思った。
「随分今日は遅いな、と思って待ってたら星が綺麗だったから。」
を待ってたんだ、とキラは私を抱きしめた。
ありがとう、と礼を言うとしばらく静かに空を二人で見上げた。
「ところで。」
「ん?」
「どうして遅かったの?ラクスと話でもしてた?」
キラの問いに首を振った。
「リックが一緒に寝ようって聞かなくて。」
リックはマルキオ様のところに居た私とラクスで見ている子供の一人。
ラクスよりもどうやら私の事が気に入ってくれたらしくて、幼い舌足らずな言葉で話し掛けてくれる。
「今日は綺麗な花を摘んできてくれたの。」
クスッと笑ってサイドテーブルの花瓶の方を指す。
「リックはが大好きだね。」
「将来の夢は私の『お嫁さん』らしいから。」
「・・・リックは男の子だよ。」
眉を下げて不思議そうな顔をするキラに笑った。
「そうね。」
「そうねって・・・」
呆れた声のキラ。
「だって、可愛いんだもの。」
キラは気付いてない。
リックの目の色がキラと同じ綺麗な紫色だという事を。
「子供が出来たらこーんなに幸せなのかなぁ、って。」
リックの髪の色がキラと同じ少し明るい茶色だという事を。
「、子供欲しいの?」
コーディネーターとしては一応成人している私達。
子供が出来ても全く問題はない。
「そうねぇ・・・」
私とキラの子供だったら一体どんな子供が生まれるんだろう?
「会ってみたいとは思うよ。だって、自分からどんな子が生まれるんだか楽しみじゃない?」
「の子供なら絶対可愛いね。」
私の髪を優しく撫でた。
「男の子も女の子も欲しいな。」
こつんとキラと額をあわせてクスリと笑う。
「に似た女の子と僕に似た男の子?」
「逆でもいいと思うんだけど。キラに似てれば絶対可愛いと思うし。」
「それは凄く複雑・・・」
眉を寄せた後にキラはチュッと音を立てて私の頬にキスをした。
「キラとの子供ならいつでも欲しいかもね。」
クスッと笑うとキラは、うーん、と唸った。
「僕は、まだいいかなぁ。」
「え?」
いいって・・・?
キラの言葉に少し驚いて不安になった。
「僕は、まだと二人っきりがいい。」
「え?」
キョトンとした後にキラの言葉の意味がわかってクスクスと笑い始めてしまった。
「子供にヤキモチ?」
「そうだよ。僕だってまだとの時間が欲しいからね。」
そういうとキラは私に優しい口付けをした。
「ん・・・」
「・・・愛してる。」
「キラ・・・ん・・・・・・」
一瞬離れた唇はまた重なった。
そして私達は綺麗な地球の星空を見ながら甘い一時を過ごした。
しばらくは嫉妬深いキラのためにできないであろう未来の子供達を思い浮かべながら。
UP 05/13/05
蒸気城にて、HIT 90000の有紀さんのリクエストより。
DESTINYのキラで甘甘。
今回はFOUR-LEAF CLOVER PROJECTとは違う主人公で。
*有紀さんのみお持ち帰り可*