いつからだろうか。
私は奴と考え方が違いだした。
なぜだろうか。
私は奴と意見が違い始めた。
だから君に別れを告げよう
「ほお、君がここに来るとは珍しい」
わざとらしく笑う相手を睨みつけた。
「来る事がわかっていて、よく言う」
元々似ているはずなのに。目の前に居る相手が、どうしても理解できなかった。
「確かに」
仮面をつけたまま私を見た。この男は、私の用件がわかっているんだ。
「それで?私が上に報告するとは思わなかったのか?」
小さな体の私と違い、大人の体を持つ相手に私は笑った。
「貴様が?上に報告?ありえない話だろう」
お前が私を知っているように。私はお前を知っている。
「面白いと思うことを貴様が止める訳がない」
お前が望んでいる物は、愚かな人間達の醜い姿を見ることだから。私は歩く国家機密といってもいいくらいなのだ。議会が混乱することは間違いない。そんな出来事を止めるはずはないんだ。
「確かに。君がザフトから姿を消せば議会は大騒ぎだろうな」
楽しそうな声で言った。
「零の暗号が消えた、という事実にどのぐらいの騒ぎになるかな?」
「存在自体が機密のような零の暗号が消えたとしても、大騒ぎにはならないだろう」
そうだな、と頷いたあと、すこし沈黙が続いた。
「本当に行くのか?」
「今頃止める気か?」
ばかばかしい。
「」
珍しく不安そうな声。
ひょっとしたらこの男のこんな声は、初めてかもしれない。
「止めたら行かないで、このまま居てくれるのかね?」
突然の言葉に、体が動かなかった。
「もしも、ここで今。私が、行くな、といえば」
どうして、そんな事を言うんだ。
「君は居てくれるのかね?」
お前らしくない。
「・・・馬鹿な事を」
「らしくない、と笑えばいい・・・」
ふと、自嘲気味な笑みを浮かべた相手の手が私の頬に触れた。
「ク、ルーゼ・・・」
「久しぶりに、名前で呼んでくれてもいいだろう」
優しいその手は惨酷だ。
「ラウ・・・」
「」
何で、私達はこんなに変わったんだろうか。
「人間は愚かだ」
「知っているさ。そして、貴様も愚かなものの一部だ」
「君がどんなに望んでも、奴等は変わりはしない」
「そんな事は推測だ。やってみなければわからない」
「そんなの、無駄だぞ。どう足掻いても、運命には逆らえない」
「それは貴様が勝手に決めた事だ」
「運命に逆らう事は、だれにも出来ない」
「それでも私は―――」
お前がやらなかったことを、私がやってみせる。
「―――運命に逆らってみせる」
UP 11/20/05