【不思議な彼女】




「・・・・・・サイ?」

「へ・・・うわっ!!」


突然目の前に映ったのアップに驚いて思わず後ずさりする。俺の反応に、ひどいなぁ、と頬を膨らませる彼女にすぐに謝る。

「ご、ごめん。ちょっと驚いて・・・」
「さっきから呼んでたのに?」
「ごめん・・・」
「しょうがないな。サイだから許しちゃおう」

ニッコリと笑う彼女は本当に可愛いと思う。
は本当に不思議だ。いつも優しく、頭も良くて、皆をまとめるのが上手くて。無茶な事も言わないのに、自分の意見はちゃんと言う。ルックスだって凄く綺麗で。でも時々ミリアリアと騒ぐ時は無邪気にはしゃぐ事もあって。たまに綺麗という言葉よりも可愛いという言葉が似合う。
まさに理想の女の条件っていうのにあてはまる。

「大丈夫、サイ?」

心配そうな声で問われたその質問に、え、と聞き返した。

「疲れた顔してる」
「そう、かな・・・?」
「うん」

確かに最近あんまりよく眠れなかった気がする。フレイがキラに酷い事を言わないかハラハラしたりもして、少し緊張が続いていた事も事実だ。

「ちゃんと休まなきゃ駄目よ?・・・まあ、ゆっくりって言うのは難しいかもしれないけど」
「ああ」

母親のように言うに思わず嬉しくなった。

俺の事も心配してくれてたんだな・・・

サイは人の事ばっかり心配して自分の事を心配しないんだもんね、と言われた。それは君も同じだろ、と言い返そうとする。

「そうだ。サイ」
「ん?」
「膝枕してあげようか?」
「えっ・・・?」

ニッコリ、と笑うとグッと引っ張られて、柔らかい感触を頬に感じる。

「ちょっ・・・!!?」
「ずっとキラとフレイの事心配してたんでしょう?二人とも今は一緒に居ないし、大丈夫だから」

優しい顔のを見ると視界がぼやけた。眼鏡をはずされたらしい。

「今だけでも、ゆっくり休んで」

そっと頭を撫でられる。
が俺の彼女だったら。ふとそんな考えが浮かんだ。もしそうだったとしたらきっと俺は常に幸せなんだろう。フレイのように時々ある滅茶苦茶なワガママも無く。むしろワガママを言ってもらいたくなりそうだ。
優しい手にだんだんと瞼が重くなってきた。

・・・ゴメン・・・」
「気にしないで。ゆっくり休んで」

落ち着いた声に意識が薄れていく。

「俺、、好きだな・・・」

ポツリと呟いてからすぐに俺は睡魔の誘いのまま、眠った。その薄れていく意識の中、綺麗な声が最後に聞こえた。


「ありがとう。サイ」



UP 04/20/05