『これ以上、大切な人を失いたくない―――』
『どうか、私で最後に――――――』
『――――――――――――!!!!!』
【現在の『私』】
「はッ・・・・・・!」
目の前に白い天井が映った。
たら、と額から汗が垂れるのを感じて、ダルイ体を起こした。
「また、か・・・」
目を覚ますと覚えていない夢。
きっと、私の抜けてしまった過去の夢。
「どうして・・・」
どうして、私は思い出せないんだろうか?
こんな時、酷く不安になる。自分が一人、世界に取り残されてしまったような気に。自分が誰だかわからなくなる。
『・』
そうわかっていても、『』はギルバート・デュランダルに貰ったファミリーネーム。本当のファミリーネームなんて、わからない。唯一わかっていたのがファーストネームの『』だけ。何故か、なんてわからない。夢の中でも覚えているのは複数の辛そうな、悲鳴のような、叫び声。
『』と叫ぶ声。
ひょっとしたら、私は『』ではないのかもしれない。ただこの夢を見るから『』だと思っているのかもしれない。でも、そんな事はもう関係ない。今の私には仲間が居るから。
『が誰だって、俺は構わないよ』
私を大切にしてくれる、シン・アスカ。
『失った過去は構わなければいいさ。これから俺達と居る新しい記憶を創れば』
私の事情を知っている、レイ・ザ・バレル。
『俺、の事好きだよ?』
明るく笑ってくれる、ヴィーノ・デュプレ。
『保護者は大変だよな?』
笑いながら冗談を言ってくれる、ヨウラン・ケント。
『ああ、、素敵!』
『さんは、女の子の憧れだよ!』
姉妹のように慕ってくれる、ルナマリア・ホークとメイリン・ホーク。
今の私を受け入れてくれる仲間達。
ふと、サイドテーブルの上にある写真を見た。幸せそうに皆で撮った写真。
「大切な、仲間・・・」
ポツリと自分で呟いた言葉にさっきまであった不安感が薄れていった。
「大丈夫。私は、独りじゃない。」
もう一度ベッドに潜り込んで笑みを浮かべた。
UP 05/13/05