【感謝の言葉】
「元気そうだね」
「議長!?」
突然後ろからかかった声に驚き振向いた。
「どうして・・・」
「たまには君の顔を見に来てもいいかなとおもってね」
優しい微笑みを浮かべている男、ギルバート・デュランダル。は二コリと嬉しそうに笑った。
「ありがとうございます」
「私が勝手にやっている事だよ」
だから気にするな、というのはギルバートの気遣いだった。は手にしていた書類を調えるとギルバートへ向いた。
「」
「・・・・・・?」
先程とは違い少し真剣な声には首を傾げた。
「近いうちに新型のお披露目会をしようと思っている」
「え・・・・・・」
言い方だけは可愛いかもしれないがその内容には目を丸くした。
「それに、も出席してもらいたい」
「ちょ、ちょっと待ってください・・・!」
そんな事をしたら、また大騒ぎになるかもしれない。は、困惑したようにギルバートを見た。
「確かに新型を発表したいのはわかります・・・でも・・・」
「心配ないよ。」
相変わらず穏やかな笑みを浮かべるギルバートには黙った。
「今は、平和な時間なんだよ」
「でも・・・・・・」
「だから、『女神様』も一緒に参加してもらいたいんだよ」
「女神様って・・・」
少しからかう口調には困ったように肩を竦めた。
「聞いてるよ?君の噂は色々ね」
「噂?」
何のこと?と首を傾げるを可愛く思い、ギルバートはの頭を撫でた。
「このまま幸せで居られたらいいのにな」
「議長・・・?」
柔らかい笑みには困惑したままギルバートを見上げた。
「ギルでいいと、以前言ったはずだよ?」
「でも・・・」
「せめてプライベートくらいはそう呼んでくれ」
苦笑いを浮かべた顔を見るとは笑顔になり、はい、と頷いた。
「生活には慣れたみたいだね」
「ええ」
「レイ達とも仲良くやっているようで良かったよ」
「とても優しい人たちですから」
ふふっと笑うにギルバートは頷いた。
「ギル」
「ん?」
「本当に有難うございます」
は頭を下げて続けた。
「貴方のおかげで、此処まで普通の生活ができるようになりました」
「気にすることじゃない」
「いいえ、議長のお言葉が無ければ、私はきっとこんな風に生きてなかったでしょう」
顔を上げたの表情は、少し悲しげだった。
突然現れた見ず知らずの私を保護したギル。自分の名前以外記憶に無かった私を助けてくれた。
『記憶喪失とはいえ、彼女は宇宙に居たんですよ!?』
『それで?』
『民間人があの場所に、あんなポッドの中に居るはず無いでしょう!』
『だから何だと言うんだい。今は平和な世界実現する為に歩む時だろう』
扉の向こうで聞こえた声。
『君に名前をあげよう』
怪我の完治が近くなった時に言われた言葉。
『君のファミリーネームは、。君の名前は、・だ』
「本当にギルには感謝しています」
「そうか。なら、是非今度のお披露目会で綺麗なドレスを着て見せてくれないかな?」
この間君に似合いそうなものがあったんだよ、と笑うギルバートには思わず吹き出した。そして穏やかな微笑みを浮かべて、はい、と同意した。しかし、その後にクスッと笑い、付け足した。
「でも、動きやすい物にして下さいね。私、転んで恥をかくのは嫌ですから」
UP 04/03/05