【砂漠ノ虎】



買い物で手を一杯にした僕達は休憩する事にした。僕はカガリに奨められてケバブという料理を頼んだ。するとそれにかけるソースの事で他のテーブルに座って居た男がカガリと言い合いを始めた。

「チリソースだ!」
「いや、ヨーグルトソースだ!」

正直、どっちでもいいんだけど・・・

困った僕には苦笑した。その時、が、伏せて!と叫んだ。僕はカガリをグッと引っ張って、はテーブルを蹴り上げた。その反動でカガリにケバブのソースがかかったけど、それ所じゃない。あたりは銃撃戦が始まってる。

「死ね!宇宙の化け物め!」

ブルーコスモス、とカガリが呟いた。ハッとして、を探すと、少し離れたテーブルを盾にして、銃を手にしていた。傍に倒れている男から取ったんだろう。異様に頑丈なテーブルに感謝したかった。僕とカガリはテーブルのおかげで弾には当たっていない。そっとの方を見ると、信じられなかった。
の撃った弾は全て的確に相手の銃と手に当たっている。いくらコーディネーターでも、それはとても難しい事。
何とか銃撃戦が終わるとカガリと言い合っていた男が『砂漠の虎』である事を知った。

「彼女をそのまま帰すわけには行かないだろう。案内しよう」

『砂漠の虎』に言われてカガリは凄く怒っていたけれど、がカガリに言った。

「貴方だっていつまでもそんな格好では居たくないでしょう?」

そして、に促されて来た『砂漠の虎』の屋敷。緊張している事に気付いたのかは僕とカガリの手を握っていた。目が合えば優しい眼で微笑む。

「アンディ」

トーンの高い声が聞こえると女の人が寄ってきた。

「この子ですの?」

カガリを指しながら言う女の人に『砂漠の虎』は頷いた。

「そうだよ、アイシャ。チリソースとヨーグルトソース、それとお茶を被ってしまったんだ」

『アイシャ』と呼ばれた女の人はは、ケバブね、と笑ってカガリの手を引いた。

「なっ、ちょ―――!」
「大丈夫よ、カガリ」

驚くカガリにが微笑んだ。焦った僕は私とと『砂漠の虎』を順に見る。

「折角だから、綺麗にしてもらえばいいわ」

ニッコリと笑みを浮かべたの言葉の後、仕方なくカガリは女の人の後をついていった。

「君達は、こっちだ。彼女の言う通り、アイシャも悪いようにはしないさ」
「行きましょう、キラ」

僕の手を引いてが『砂漠の虎』と呼ばれる男の後をついていった。そっと横に目をやるとは落ち着いた表情。落ち着いているのはいつもの事でも、『敵』の敷地に居るのにこんなに落ち着いているなんて信じられなかった。僕のその疑問の答えがわかるのは、すぐこの後だった。





UP 08/06/05