「フォーリーフ、・出撃する」
押し出されるように宇宙へ出た。
【衝突まであと】
事態は本当によくわからなくなるくらい複雑で。ザフトの機体なのにザフト軍を攻撃する不思議な者の次に強奪された三機が出てきた。それぞれが相手を攻撃し、私達は攻撃を避けながら攻撃し、ユニウスセブンを壊さなきゃいけない。
「なんて面倒な・・・!」
思わず一人で舌打ちする。アイツ等、と恨めしそうな声が聞こえてくる。今日こそ、と負けず嫌いのルナが先日負けた事によって悔しそうに呟く。
「シン、ルナ」
『戦闘が目的じゃないぞ!』
『わかってます!』
怒鳴ったあの彼にルナが大声で返す。でも仕方ないじゃないですか、と。新型三機を相手にシンとルナは苛立ったような声をあげる。カオスを相手に彼はすばやく攻撃するのが見えた。やはり、戦争の経験者なだけはあるらしく、サポートは必要なさそうだった。ハッと横を見るとガイアが形を変え、ルナが攻撃されそうなのが見えた。
「ルナ!」
グッとペダルを踏み込んでガイアに向かって鋭いソードを振り下ろす。威嚇だけの、本気じゃない攻撃。
「!」
「しっかりしてよ、ルナ?」
少しからかうように言うと、わかってるわよ、と大きな声が返ってくる。
「それじゃ、いきますか」
小さく呟いてルナから離れた。
『だが、まだまだだ』
突然入ってきた声に首を傾げると、別の声が入ってきた。
『アスラン!?』
何時の間にかジュール隊の機体と通信が繋がってしまったらしい。私は何も口にしないまま不思議な会話を耳にする。
『貴様、何故ここにいる!?』
少しヒステリック気味な怒鳴り声に驚きつつも何処か感心する。やはり、彼は昔ザフトに居たのだと。
『わかっている!俺に指図するな!』
民間人の癖に、と言われると、相変わらずだな、と苦笑が聞こえてきた。イザーク、という呟きに内心驚く。
ジュール隊の隊長がこんなにも賑やかな人だとは思わなかった。
『やれやれだねぇ』
笑いを含んだ声でもう一人が呟く。
三人共知り合いだったんだ。
・・・それにしても―――
「・・・戦闘中とは思えない会話ね」
思わず声に出してしまった。
『誰だ!?』
しまった・・・
『あらぁ?女の子の声?』
少しふざけたような声に不思議と懐かしさを感じた。
「失礼致しました。ジュール隊のサポート役に廻るよう命を受けました」
へぇ、とまた面白そうに声がした。
『ふん。足だけは引っ張るなよ』
馬鹿にされたような気がしたけど、まぁいいか。グッとペダルを踏んでスピードを上げた。
こんな風に戦闘中とは思えない会話でも彼等は上手くカオスとアビスを攻撃していく。もちろんそれをサポートするように私も三機を庇いながらアビスを撃つ。怯んだアビスを庇うように出てきたカオスを更に撃った。お互いのサポートをしつつ攻撃する。他の三人の息があうのは過去に戦った者として当然。だけどその中で私も不思議なくらいに息があった。まるで過去に彼等のと共に戦った事があるかのように。
帰還信号が出されたらしく、カオス、アビス、ガイアの三機が戦闘を放棄した。それでもまだ、私達の仕事は終わっていない。
ユニウスセブンの地球への衝突まであと僅か。
UP 10/15/05