悪寒がした瞬間、私は走り出した。
【ワルイヨカン】
「どうして嫌な予感が当たるかなッ・・・?」
思わず一人で走りながら怒鳴った。
ギルに動きやすい衣装にしてもらってよかった、と心の底から思った。
当初の予定のデザインのドレスだったら長いスカートで走る事なんか絶対出来なかったと思うし。
ドクンッ
まるで体中が痺れるような、焼けるような、不思議な感覚に一瞬襲われた気がした。
「な、に・・・?」
前もこんな事があった?
「・・・そんな訳ないか。」
一人で呟くとプラントの最高権力者をようやく見つけた。
「全員伏せろ!」
叫んだ瞬間、後ろから爆音と共に爆風が吹いた。
「チッ・・・!」
「うわあっ!」
「おわッ?!」
騒ぐ軍人達を他所に私は急いでギルのもとに走った。
「議長!」
何事かと問うギルに周りは、わかりません、と困ったように原因を追求する為走り出した。
「議長!お怪我は?」
「私は平気だ。そんな事より、何が・・・」
私の登場に少し驚いたように目を見開いてすぐに問うた。
「議長は早く避難してください!貴方達は議長を安全な場所まで!」
「ハッ!」
数人に言うと議長は私の事を訊いてきた。
私はその問いに答えずまた走り出そうとした。
その時に軍服を着ていない人間に気付く。
ここで軍服を着ていない人間なんて珍しい。
金髪の女の子と庇うように覆うダークブルーの髪の男。
その男が顔を上げた。
深 緑 の 瞳 と 目 が 合 っ た 。
少し目を見開いた彼を私は知らなかった。
だから私はすぐにその場を離れた。
爆音がまた聞こえて少し離れた所に新型のMSが動いているのが見えた。
「適当に誰かの機体を借りるしかないか・・・」
私の機体はミネルバに置いてある。
そこまで行ってる時間無いだろうし。
シンは確かミネルバだったっけ・・・
「出来る事なら無茶をして欲しくないんだけど・・・」
優しい子だからなぁ・・・
願う事は惨酷な歴史が再び繰り返さぬ事。
UP 04/15/05