「最近のザフトの人間は、意外と頭が悪いのかな」

呆れたような声で告げた相手に、ムッとしたようにディアッカはを見た。

「身動きとれない状態で、相手を挑発するとは」

なにも言えなかったディアッカは、チッと舌打ちした。

「あんただって、そんな傷、負う必要なかっただろ」

包帯の巻かれた手を見ながらいわれて、は苦笑した。

「興奮状態の人間を黙らせるには、手っ取り早いだろう?」
「・・・俺までかばって」

呟くように告げられた言葉には、ふっと笑った。

「切り傷ぐらいすぐ治るから」
「俺だって同じだ」
「それもそうね」

くすくすとが笑うと、ディアッカは静かに床からへ視線を戻した。

「あんた、なんでコーディネーターなのにここにいる?」
「守りたいものがあるからよ」

即答されたことに、ディアッカは驚いた。

「あんた、名前は?」
「人に名前を聞くときは、自分から名乗るものじゃないのかしら?」
「ディアッカ。ディアッカ・エルスマン」

エルスマン、とは一瞬驚いたように繰り返した。聞き覚えのある名前に、苦笑した。奇妙な運命だ、と。

「なんだよ?」
「いや。ディアッカ、ね。よろしく」
「よろしくしていいのか?」
「私は私、だからね」

変わっている、とディアッカは思った。それは決していやな感じではなく、今まで会ったことのないタイプの人間だということだ。

「ねえ、ディアッカ。戦争はいつ終わると思う?」

突然投げかけられた言葉に、ディアッカは驚いた。そして、言葉に詰まった。

「それは・・・」
「貴方は何と戦っている?」

穏やかな笑みを浮かべたまま問われた。

「ディアッカは、何故戦う?」

その微笑みを浮かべた姿に、震えた。



根底を揺るがす人



UP 06/15/14