【惨酷な再会】
「キラ!」
「すぐ戻る!」
カトウの客人の後を追って行ったキラをも追った。
「キラ!」
「!?」
「ミリィ達は先にシェルターへ!私もキラと後から行くから!」
ミリアリア達の止める声を無視し、は走り出した。
「キラッ!」
はカトウの客人を捕まえたキラを呼んだ。
「!?何で!」
「キラと離れるわけないでしょ!とにかくシェルターへ行こう!ほら、貴方も!」
「離せっ!」
腕を軽く引っ張ると、バッとの手を撥ね退けた。そして、再び走り出した人物をとキラは追った。
の脳内では次々と映画のように光景が浮かびだす。
突然揺れだす建物。
避難する人々。
不安な叫び声。
恐怖の悲鳴。
明かりが消えた暗い通路を出ると、遠くから銃声が聞こえた。
下の階に見えた巨大な機械にはキラ達に見えないよう、一人顔を歪ませた。
とキラが追いかけてきた人物は、下の階にそのMS機を確認すると悲痛な声で叫んだ。
「お父様の裏切り者ーーーーー!!!」
突然の叫び声には驚き、その場は危険だと判断し、キラと共に少女をシェルターへ連れて行った。シェルターには一人分しかスペースはなく、とキラは他のシェルターを探す事になった。キラはの手を握って引っ張るように走る。
再びMS機の近くに戻ると、下の階から女の声が聞こえた。シェルターが満員だった事を伝えた次の瞬間、大きな爆発音がさっきまで居た通路から聞こえた。その事実にはギュッと強くキラの手を握った。そんなを不安がっているのだと思ったキラはを見た。
どうしよう・・・このままじゃ、も危ない・・・
混乱したように考えるキラの予想を裏切るようには言った。
「降りよう、キラ!」
「えっ!」
離れた手に驚いた顔でを見るがは既に柵に手を掛けていた。そして、ほぼ同時に飛び降りると、は綺麗にMS機の上に着地し、キラは少しバランスを崩しながらも上手く着地した。
再び銃声が聞こえると、二人が振り返った先にはさっきの女。肩を抑えて、痛みを耐えるような顔から撃たれた事はすぐにわかった。キラは驚いて駆け寄り、も一緒に隣に跪いた。女が、うう、と痛みを我慢できないように唸る。しかし、すぐそばににナイフを持った赤いパイロットスーツの人物が立っていた事に気付くと体を強張らせた。
だんだんと近づいてくるその人物のバイザー越しに見えた顔。
惨酷な再会
「ア、スラン・・・・・・?」
「アスラン・・・・・・?」
「キラ・・・・・・・・・!?」
しかし、その驚きも一瞬だった。肩を抑えたまま女は銃を持ち上げ、赤いパイロットスーツを着たアスランへ向けて撃った。もちろん訓練を受けていたアスランはそれをかわし、他のMS機へ向かった。それと同時にはバッとそのMS機を飛び降り、アスランとは反対の方向へ走り出した。
「―――ッ?!」
再びそばで爆発し、煙がの姿を隠していく。
・・・!どうして・・・!?
焦るキラを他所に、女は無理矢理コックピットへと押し込んでコックピットを閉めた。
「ちょっと!待ってください!が―――」
「そんなの待ってられないわ!今更、手遅れよ!」
「なっ!を見捨てるって言うんですか!?」
「此処で待ってても貴方も私も死ぬだけよ!」
大声で怒鳴られた言葉にキラは言い返せなかった。出た途端に始まった戦闘は、自力でキラはOSを書き直し、何とかMS機を動かす事が出来た。初めて扱う機体にキラの戸惑いは明らかだったが、突然現れた別の桔梗色をメインにした機体。敵機ではないらしく、気を失ってしまった女の代わりに操縦するキラのサポートをしていった。
なんとか戦闘が終わると、キラは疲れたように息を吐いた。
桔梗色の機体のコックピットでは、が溜息を吐いた。
これから起こる事への不安、怒り、戸惑い。
ギュッと強く拳を握る。
三人の幼馴染の惨酷な再会に全員が困惑した。
UP 02/18/05