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【再会】
「朱零・・・」
「久しぶりだね、草灯」
嬉しそうに微笑む彼女を見た瞬間自分の目を疑った。
朱零が此処に居るはず無いのに。
ゆっくりと俺に近づいて冷たい手が頬に触れた。
「さっき、立夏に会った」
彼女の言葉に思わず目を見開いた。朱零はふふっと笑いながら目を細めた。
「凄く可愛いかった」
俺よりも小さい朱零が腕を伸ばしてきて俺はそのままギュッと朱零を抱きしめた。
「朱零・・・」
久しぶりに抱きしめた彼女の体は前と変わらず冷たくて、柔らかかった。しばらくしても離さない俺を不思議に思ったのか朱零が口を開いた。
「草灯?」
「朱零・・・会いたかった・・・」
ずっと会っていなかった愛しい朱零。
「うん・・・私も会いたかったよ」
体を少し離すと優しい色を浮かべた空色の瞳に俺が映った。
「これからどうするつもり?朱零」
「・・・できれば、しばらく草灯の傍に居たい」
切なそうな眼。何もかも許す眼。
だめ?と聞いても俺が首を振るわけがない事を知っている。
「朱零なら大歓迎」
クスッと笑って、ありがとう、と俺の頬にキスをした。
「今日ね、泊まる所ないの。だから泊めてね、草灯」
少し甘えるように手を俺の腕に絡ませて行こうと急かす。
綺麗で優しい朱零。
可愛くて美しい朱零。
だけど俺は知っている―――
「朱零、清明は―――」
―――時々冷たくて艶めかしい笑みを浮かべる事を。
「清明は死んだ。そうでしょ?草灯」
―――全てを魅了させる妖艶な笑みを浮かべる事を。
「愛してるよ、草灯」
―――不安になるくらいに美しい言葉を。
「命令したくなるくらいに」
―――支配されたくなるくらいに魅力的な言葉を。
「命令されたいくらいに」
―――支配したくなるくらいに魅惑的な言葉を。
「草灯を愛してる」
―――全てを許し受け入れ、求める事を。
「朱零・・・」
「草灯、言葉を頂戴。貴方の言葉を」
―――そして何より君の求める物は愛しい『繋がり』だと言う事を、知っている。
「俺も君を愛してるよ、朱零」
何故なら君は
言葉
スペル
を操る者でありながら、支配する事が可能な『x』なのだから。
UP 09/25/05