昨日の夜少し遅くに寝た俺は興奮気味のユイコが少しうっとうしく感じた。
軽く袖を引っ張るとユイコは嬉しそうに言った。
「転校生だって。立夏君と一緒だね!」
先生が入るように言うとドアが開いた。
次の瞬間聞こえた声に俺は驚いた。
「初めまして、です。」
【転校生】
俺は自分の目を疑った。
美しい銀色の髪。
優しい澄んだ空色の瞳。
この間夜の公園で会った女だった。でも、この間の不思議な雰囲気は無くて、教室の前で立つ彼女は穏やかな雰囲気をしていた。
「皆と約束してた通り、今日は席替えの日だからこれからくじをします」
東雲先生がそう言うと皆が騒ぎ出した。その言葉に思わず彼女を見て目が合うと微笑みを浮かべていた。
くじの結果、俺は『』と言った彼女の隣になった。
そして偶然にもユイコはまた彼女と反対側の俺の隣に座る事になった。
「またお隣さんだね!立夏君!」
「そうだな」
嬉しそうに笑うユイコに俺は軽く微笑んで見せた。でも意識は反対側に座る彼女にある。目があうと俺に優しく微笑えんだ。俺はなんか恥ずかしくて視線を彼女から逸らした。
休み時間になるとユイコが嬉しそうに俺の隣へ声を掛けた。
「はじめまして!アタシ、羽渡唯子!ユイコってよんでね!」
「初めまして、です。私の事も名前で呼んでくださいね」
まるで透き通った水のように透明感のある声。
「じゃあちゃん!」
「ユイコちゃん、よろしくね」
まるで大人と子供の挨拶みたいだな・・・
普通どおりの話し方でいいとユイコに言うと、ユイコは、そうだ、と声をあげた。
「ちゃん、こっちが青柳立夏君!」
立夏君もこの間転校してきたんだよ、とユイコが言うと、そうなんだ、という声がした。
「です。と呼んでくださいね。」
「いいのか・・・?なら、俺も・・・立夏でいいから」
知ってますよ、と綺麗な2つの青空が俺を見ると微笑んだ。
「青柳清明さんの弟でしょう?」
「えっ・・・清明を、兄貴を知ってるのか?」
思わずの言葉に耳がピクッと動いた。
「はい。昔仲良くしていただいたんですよ」
また、兄貴の友達・・・
「とても優しい人ですよね」
笑みを浮かべるの言葉に思わず嬉しくなった。やっぱり清明は皆から好かれてたんだ。
「よく貴方の話をしてくれました。いい弟だって」
「本当に?」
はい、と頷いたとの会話をユイコが、何の話?と止めた。するとユイコを会話の仲間外れにしないように違う話題を出した。その後、ユイコ一人が話しつづけたが、相槌を打ちながら楽しそうに話を聞いていた。放課後も出掛けようとユイコが誘ったがは用事があったらしく今度出かけようといっていた。何だか寂しく感じて俺は残念な気分になったがの『また今度』という言葉に少し楽しみが出来た気分だった。