スレチガイ アンノウン
07. 少女の嫉妬
「!」
「紅夕。」
映画を見に行こうと約束をしたから校門で待っていると、紅夕が走ってきた。
そんなに慌てなくてもいいのに。
きっとそんな事を言っても優しい幼馴染は走ってくるんだろう。
「本当悪かった。あの人、なかなか返してくれなかったんだ。」
「気にしなくていいって。紅夕のせいじゃないし。」
笑えば、笑顔を返してくれる紅夕。
でも少し哀しそうな雰囲気があるのは今日私が亮君と居られないから。
私の思いを鏡のように映してるんだろうなぁ・・・
行くか、と紅夕が言うと私は何を思ったか、視線を少し紅夕の後ろへ映してしまった。
驚きのあまり声が出なくて、目を大きく見開いた。
「おい。」
紅夕が振り返ると不機嫌そうな顔になる。
当たり前かもしれない。
彼をよく思ってないんだから。
「宍戸・・・」
「りょ、亮君・・・?」
亮君も明らかに機嫌が悪い。
少し恐い雰囲気の亮君に私は声が震えた。
「あ、あの、亮君・・・今日、テニス部に出るって・・・」
「ああ。だから?」
きっぱりと言われる言葉は冷たくて、私は何故彼がこんなにも不機嫌なのかわからなかった。
今日は、亮君テニス部に出るって言ったのに。
どうして此処にいるの?
どうしてテニスをしないでテニス部の人達と居るの?
疑問しか浮かばない。
嫌だな・・・なんかテニス部の人達に嫉妬してるみたい。
「誰だよ。ソイツ。」
紅夕を睨みながら亮君が問うた。
「あ、紅夕と会った事無かった?」
「そうだな。こうやって会うのは初めてだな、。」
紅夕の言葉に慌てて紹介した。
「月空紅夕君・・・小さい頃から一緒の幼馴染なの。紅夕、宍戸亮君。」
「初めまして、月空です。」
「どーも。」
紅夕は、笑顔を見せると忍足君を見た。
「初めまして、忍足君。」
「俺の事知っとるんか?」
「君の彼女とが親友だからね。話はよく聞くんだ。」
「もちろん、君のこともね。宍戸君。」
紅夕もいつもと違う。
ピリピリとした空気が私達を包む。
亮君に話し掛けた紅夕を無視して、私の名前を呼ぶ。
「。」
「亮君、今週は忙しいからって言ったから。紅夕に送ってもらってて。」
まるで言い訳のように言葉を並べる私。
「で、浮気か。」
「っ!」
言われた言葉を一瞬理解できなかった。
どうして?
そんな事、あるわけないのに?
私を睨む亮君に紅夕が怒鳴った。
「んだと!お前、の事が信用できないのか!?」
「紅夕!」
「テメエには関係ねぇだろ!」
「ふざけんなよ!」
「宍戸!」
「亮君!」
紅夕が亮君を殴った。
ドサッと転んですぐに立ちあがった。
忍足君と私が亮君の名前を叫んだ。
「んで、関係ねぇテメエに殴られなきゃなんねーんだよ!」
「ざけんな!お前、が今までどれだけ我慢してきたと―――!?」
もう一度亮君を殴ろうとした紅夕の腕に飛びついた。
「やめて、紅夕!」
大きく目を見開いた紅夕達。
「やめて、よ・・・」
震えそうになる。
だめ、泣いちゃだめ・・・
「やめて、紅夕・・・亮君は、悪くないんだから。」
「!」
「ゴメンね、亮君・・・紅夕とはただの幼馴染だし。最近、放課後送ってくれただけだから。」
泣いたらダメ。
謝って私はその場を逃げた。
紅夕がまた怒鳴る声が聞こえた。
けど、私は恐くて逃げた。
別れると言われたら私はどうしたらいい?
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