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【感謝の言葉】
「元気そうだね」
「議長!?」
突然後ろからかかった声に驚き振向いた。
「どうして・・・」
「たまには君の顔を見に来てもいいかなとおもってね」
優しい微笑みを浮かべている男、ギルバート・デュランダル。ルディアは二コリと嬉しそうに笑った。
「ありがとうございます」
「私が勝手にやっている事だよ」
だから気にするな、というのはギルバートの気遣いだった。ルディアは手にしていた書類を調えるとギルバートへ向いた。
「ルディア」
「・・・・・・?」
先程とは違い少し真剣な声にルディアは首を傾げた。
「近いうちに新型のお披露目会をしようと思っている」
「え・・・・・・」
言い方だけは可愛いかもしれないがその内容にルディアは目を丸くした。
「それに、ルディアも出席してもらいたい」
「ちょ、ちょっと待ってください・・・!」
そんな事をしたら、また大騒ぎになるかもしれない。ルディアは、困惑したようにギルバートを見た。
「確かに新型を発表したいのはわかります・・・でも・・・」
「心配ないよ。ルディア」
相変わらず穏やかな笑みを浮かべるギルバートにルディアは黙った。
「今は、平和な時間なんだよ」
「でも・・・・・・」
「だから、『女神様』も一緒に参加してもらいたいんだよ」
「女神様って・・・」
少しからかう口調にルディアは困ったように肩を竦めた。
「聞いてるよ?君の噂は色々ね」
「噂?」
何のこと?と首を傾げるルディアを可愛く思い、ギルバートはルディアの頭を撫でた。
「このまま幸せで居られたらいいのにな」
「議長・・・?」
柔らかい笑みにルディアは困惑したままギルバートを見上げた。
「ギルでいいと、以前言ったはずだよ?ルディア」
「でも・・・」
「せめてプライベートくらいはそう呼んでくれ」
苦笑いを浮かべた顔を見るとルディアは笑顔になり、はい、と頷いた。
「生活には慣れたみたいだね」
「ええ」
「レイ達とも仲良くやっているようで良かったよ」
「とても優しい人たちですから」
ふふっと笑うルディアにギルバートは頷いた。
「ギル」
「ん?」
「本当に有難うございます」
ルディアは頭を下げて続けた。
「貴方のおかげで、此処まで普通の生活ができるようになりました」
「気にすることじゃない」
「いいえ、議長のお言葉が無ければ、私はきっとこんな風に生きてなかったでしょう」
顔を上げたルディアの表情は、少し悲しげだった。
突然現れた見ず知らずの私を保護したギル。自分の名前以外記憶に無かった私を助けてくれた。
『記憶喪失とはいえ、彼女は宇宙に居たんですよ!?』
『それで?』
『民間人があの場所に、あんなポッドの中に居るはず無いでしょう!』
『だから何だと言うんだい。今は平和な世界実現する為に歩む時だろう』
扉の向こうで聞こえた声。
『君に名前をあげよう』
怪我の完治が近くなった時に言われた言葉。
『君のファミリーネームは、フィリア。君の名前は、ルディア・フィリアだ』
「本当にギルには感謝しています」
「そうか。なら、是非今度のお披露目会で綺麗なドレスを着て見せてくれないかな?」
この間君に似合いそうなものがあったんだよ、と笑うギルバートにルディアは思わず吹き出した。そして穏やかな微笑みを浮かべて、はい、と同意した。しかし、その後にクスッと笑い、付け足した。
「でも、動きやすい物にして下さいね。私、転んで恥をかくのは嫌ですから」
UP 04/03/05