スレチガイ アンノウン
01. 少年少女のスレチガイ
「亮君。」
「あ。悪ぃ。今日俺部活出るから先帰っててくれ。」
「あ、わかった・・・」
テニスバッグを持って急ぐ彼に私は手を振った。
「、アンタ優しすぎ!」
「ホント、お前宍戸に甘すぎだぞ。」
「・・・紅夕・・・」
廊下の影から出てきた二人の幼馴染。
腰に片手を当ててビシッと私を指差す。
その隣に呆れた顔で私を見る紅夕。
「亮君、テニス好きだから。」
「そう言う問題じゃないわよ!」
あー信じらんない、と一人で嘆く。
「だって、3年はもうとっくのとうに引退でしょう!運動部なんだから!」
「う、うん・・・」
「まあまあ、。は優しいからいいんだよ。お前と違って。」
「優しいは別!そんでもって私と違ってって言うのも別!」
漫才のような二人を見て思わず笑ってしまった。
「ありがとう、。でも私は平気よ?」
笑って見せてもは少し淋しそうな顔。
そんな私たちを見た紅夕はその雰囲気をはらうように言った。
「さーて!寄り道してから帰るか!」
そして私達は最近よく雑誌で見るカフェに向かった。
* * * * * * * * *
「ラッキーだったねぇー。ココいつもすっごい人多いんだってよ?」
「よく雑誌に出てたよな。」
「は来た事あるんでしょ?」
ラッキーな事に並ばなくて済んだ私達はテーブルについた。
綺麗なデザインのメニューを見ながら私がに問うた。
「うん。まぁね。忍足に連れてきてもらった。」
「どーせ、お前がわがまま言って無理矢理連れてきたんだろ。」
「・・・うるさい。」
どーせ私が言った事ですよー、って紅夕に頬を膨らます。
忍足君はの彼氏だからデートにでも連れてきてもらったんだろう。
デートで、か・・・・・・
「いいなぁ・・・」
ぽつりと私がこぼした言葉にと紅夕がハッとした顔をする。
は気まずそうに、えっと、その、とドモリながら頬を掻いてる。
「ま、まあ、宍戸だってが頼めば来てくれるって。」
「あ、そんな意味じゃなかったんだけど。」
「てゆーか、それぐらいアイツだってするでしょ?」
は、しなかったらシメる、と恐い発言を先程のフォローに付け足す。
本当にそう言う意味じゃなかったんだけどなぁ・・・
でもの最後の質問に私は何も答えなかった。
実際私と亮君がデートをした事なんて付き合ってから半年の今でも3、4回。
その事で亮君を責める事はしなかった。
でも正直、寂しい、と思うのも事実。
「そういえば。もうすぐ宍戸の誕生日じゃない?」
「う、ん・・・よく知ってるね、。」
「まあ、テニス部だしね。」
は忍足君の彼女なだけあってテニス部と仲が良かったから知ってて当たり前か。
「そういえば、紅夕。」
「ん?」
メニューを見終わった紅夕は、どうした、と私の呼びかけに答えた。
「紅夕も彼女できた?」
「・・・なんで?」
少し怪訝な顔をして私を見た。
私は、この間見かけた女の子と紅夕の姿を思い出した。
「この間可愛い子と居たじゃない。」
「。可愛い子じゃ誰だかわかんないわよ。」
私の簡単な説明にが突っ込んだ。
呆れた顔をするを見て紅夕は苦笑してる。
「クルクルした感じの可愛い女の子。」
「・・・余計わかんないし。」
「んー。誰の事言ってるんだかわかんねぇな。まあ、とりあえず彼女は居ない。」
「そうなんだ。」
ようやく来た可愛い制服を着たウエイトレスのお姉さんにそれぞれ欲しい物を頼んだ。
そして私達は、美味しいケーキを食べながら今日一日のことを話した。
亮君の誕生日か・・・
一緒にお祝いできるかな?
デートも久しぶりにしたいなぁ・・・
部屋で一人、私は携帯を手にしていた。
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