スレチガイ アンノウン
02. 少年の知らない感情
「亮君。」
「あ。悪ぃ。今日俺部活出るから先帰っててくれ。」
「あ、わかった・・・」
それだけ言うと俺はテニスコートへ向かった。
「あ。宍戸先輩!」
「よ。長太郎。」
「なんだよ、宍戸。また来たのかぁ?」
「るせー、向日。お前だって居るじゃねぇか。」
「そういう問題じゃないんだよな。宍戸の場合。」
「滝の言う通りやで、宍戸。」
引退したはずのメンバーの殆どが居た。
なんでお前等居るんだよ・・・
「てめえだってココに来てんだから、人のこと言えねぇだろうが。」
「跡部まで居んのかよ。」
ってか、俺の考えてる事がわかんのかよ?
「いや、やっぱり宍戸には一緒に帰る相手がいるし。」
滝がニヤリと俺を見て笑った。
コイツがレギュラー落ちをして、俺がレギュラーに戻った時、俺達は滅多に話さなかった。
だけど、のお節介のおかげで俺達は昔のように話す仲に戻った。
「そんなの忍足だって一緒だろが。」
「嫌やなぁ。俺は待っとって貰ってるんや。お前と同じにせんで欲しいわ。」
そっちのが嫌だろ・・・
「遅くなったら悪ぃだろうが。」
「女心がわかっとらんな。」
「ホント、呆れるくらい。」
「わかるわけねーだろ!ってか、滝!お前彼女居ねぇじゃねーか!」
俺の突っ込みにすんなり頷く滝に脱力する。
そんな俺を見て滝はまた口を開く。
「そうだな。」
「それなら、知ったふりすんなよ・・・」
「じゃあ、ちゃん、俺にくれる?」
「なっ!」
クスと笑って、冗談だって、という滝に少しほっとする。
「当たり前だ。」
「でも、ほっとしてるよな?宍戸。」
「くくっ、情けねーな。向日に言われるとは、相当だぜ?」
喉をくくっと鳴らせる跡部を睨んだ。
向日を睨んでも、本当の事言っただけだし、と開き直られた。
「でも、気をつけろよ。」
「ああ?」
「女ってのは気まぐれだからな。」
ニヤリと笑みを浮かべる跡部を見た。
「いつ他の男に行くかわかんねーぜ?」
「はそんな女じゃねぇよ。」
「ああ!でも、女子ってそう言うところあるよな!」
うんうん、と大きく頷く向日を睨むが気付いてないらしい。
「電話とかメールとかしないと、優しい男に乗り換えるし。」
「るせーよ、向日。そんな女と一緒にすんな。」
「結構多い話だろー。」
「お前の女だったやつ等の話だろうが。」
激ダサ、と呟くと、むかつく、と叫ばれた。
「まあ、気をつけることだね。」
滝がまた口を開いた。
ったく、何なんだよ、こいつ等。
そして、それぞれコートに入って試合を始めた。
俺はベンチでコートが開くのを待った。
俺の隣には今まで黙っていた忍足。
「なあ、宍戸。」
「あ?んだよ?」
「お前、ホンマ気をつけたほうがええで。」
「はあ?」
「お前、実は気付いとらんと思うけど。ちゃん結構人気あんねん。」
何が言いたい、と俺は眉間に皺を作った。
「がちゃんと仲ええの知っとるやろ。」
「ああ。お前の彼女だろ?」
「がいつも言うねん。も宍戸なんかと付き合わない方がいいのに、ってな。」
またかよ。
が俺に文句を言うのはいつもの事だった。
俺の事がなんだか嫌いらしい。
「いつもの事だろ、が俺を馬鹿にするのなんて。」
「せやけどな。この間始めて聞いたんよ。」
「・・・?」
「が紅夕君と付き合えばいいのに、って。」
「誰だよ、それ・・・」
「この間ええ感じやったって。」
紅夕?
誰だよ、それ。
「聞き返したんやけど。気にするな、の一点張りでな。答えてくれんかった。」
「・・・そうか。」
「帰りくらい、待って貰ろたらええやん。」
「関係ねぇだろ。」
俺は黒くモヤモヤした気持ちを誤魔化すようにラケットを握って開いているコートを探しに行った。
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