スレチガイ アンノウン
04. 少年の不安
「。」
「亮君?」
の教室まで迎えに行った。
「帰るぞ。」
「え?で、でも・・・」
「行ってきなさいよ、。私、忍足と帰るから。」
約束なんてしてなかったが、いつも俺の所に聞きに来るから、今日も来る気だっただろ、と俺は勝手に思っていた。
少しオロオロとしたがの言葉で慌てて鞄を持って俺の前に来た。
そして俺はそのまま学校を二人で並んで出た。
「あ、あの・・・」
「あ?」
「きょ、今日はテニス部に顔出さないんだね。」
「・・・ああ。」
何か不都合だったのか?
そう聞きたかった。
激ダサなことに俺は不安なんだろう。
忍足の言葉が気になってしょうがなかったんだ。
「えーっと・・・亮君。」
「・・・・・・」
「手、繋いでもいい?」
「・・・ああ。」
いつも通りのの質問に少しほっとした。
そして、ふん、と手を差し出して握る。
嬉しそうに少し顔を赤くにするを横目でチラッと見た。
なんだよ、いつも通りじゃねぇか。
忍足の奴、はめやがったな。
目に入った公園で向日の言葉を思い出した。
「。」
「はい?」
「寄ってく、か?」
「いいの?」
「ああ。」
「ありがとう。」
ニッコリと笑顔を見せて礼をいうを引っ張って公園に入った。
自動販売機で買ったスポーツドリンクとレモンティー。
ブランコに座るにレモンティーを渡した。
「なんか、久しぶりだよね。こんな風に放課後一緒に帰るの。」
「そうだな。」
「そういえばね。この間、ちゃんと美味しいカフェに行ったの。」
ちゃん、という言葉に反応しちまった。
嫌でも忍足の言葉を思い出す。
俺の名前を口にして少し言いよどむを不思議に思った。
「し、明々後日もテニス部に出るのかなぁ?って・・・」
「ああ。明々後日も、テニス部にでて遅くなると思う。」
「そ、そっか・・・」
「だから、明日も明後日も一々確認しなくていい。」
「あ、うん。わかった・・・」
どうして、そんな事を聞いたんだ?
『優しい男に乗り換えるし』
向日の言葉が頭に浮かんだ。
まさか。
その後、は手を繋ごうと言わなかった。
俺は、黒い感情に包まれていく。
自分の部屋のドアを閉めてベッドに飛び込んだ。
「阿呆か、俺は・・・」
何でこんなに不安なんだ?
は、浮気するような奴じゃねぇだろ。
携帯がブルブルと振るえてメールの着信を知らせる。
「長太郎か・・・」
『宍戸さん、明々後日誕生日ですよね!彼女とお祝いするのなら別ですけど、向日先輩達が何かしようって言ってましたよ。』
誕生日。
すっかり俺は忘れていた。
引っかかっていたのは、コレだ。
は、どうして何も言わなかったんだ?
そりゃ、俺だって一応そう言う事は恋人同士でって思ったりもする。
忘れられていれば、結構ショックだ。
「チッ・・・」
パチンと携帯を閉じて乱暴に机に置いた。
俺はこの時が何を考えてるかなんて、考えもしなかった。
自分の不安をかき消そうとするのに必死で。
アイツの不自然な行動の訳とか、アイツの不思議な質問の訳なんて、気付きもしなかった。
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